
高校生や大学生になると、他人には言えない秘密を多く抱えます。
時にはその秘密が、重大な事件にまで発展してしまうことも。
今回は三雲岳斗(みくも がくと)氏の小説『少女ノイズ』についてアシストします。
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- ロジカルな推理小説が好きな人
- ミステリーものを初めて読む人
- 人に言えない「癖(へき)」を持っている人
このような方におすすめの作品です。
本記事を読むと『少女ノイズ』のあらすじとテーマがわかりますよ!
【表の顔と裏の顔】あらすじを紹介

『少女ノイズ』を読んでみて、テーマは「学生たちが抱える秘密」だと感じました。
本書のあらすじは次のとおりです。
欠落した記憶を抱え、殺人現場の写真に執着を持つ青年と、心を閉ざして、理想的な優等生を演じつづける孤独な少女。進学塾の屋上で出会った二人が見つめる恐ろしくも哀しい事件の真実とは何か? そして、少女のつけた巨大なヘッドフォンのコードは、どこにつながるのか?
『少女ノイズ』カバーより引用
本作の主人公は、大学生の高須賀克志(たかすか かつし)です。
高須賀は子どもの頃の記憶を一部、失くしていました。
その影響なのか「殺人の起きた現場を写真に収める」という、変わった癖も持っています。
そんな高須賀は、大学の特任准教授である皆瀬梨夏(みなせ りか)から、有名進学塾でのアルバイトを依頼されます。
そして高須賀が塾に行って任されたのは、学校では成績優秀な優等生ですが塾では講義を受けず、塾の各所で1人過ごし続ける高校生・斎宮瞑(いつきのみや めい)の担当でした。
そして物語の第1章で、瞑は高須賀の欠落した記憶の原因を早々に突き止めてしまいます。
以降の話でも、軸となるのは学生たちが抱える秘密です。
普通に学校や塾生活を送る表の顔と、誰にも言えない・見せられない裏の顔。
そして本作で引き起こされる事件は、学生たちの裏の顔が引き金となっています。
『少女ノイズ』は学生たちの秘密が巻き起こした事件を、瞑がロジカルな推理で解き明かしていく作品なのです。
おすすめしたい理由は「瞑と高須賀の距離感に引き込まれる」から

『少女ノイズ』をおすすめしたい、もっとも大きな理由が「瞑と高須賀の距離感に引き込まれる」からです。
記憶が欠落した原因を知った高須賀。
続く第2章では、瞑に対する想いも明確化します。
出会った当初から、瞑の写真を撮影したくなる衝動を抱える高須賀。
瞑の無気力な態度は、どこか生きてはいない人間を連想させるものだったためです。
ただ2章では瞑の弱さが垣間見えます。
「たとえば私が今ここで死にたいと言ったら、あなたは止める?」
そんな瞑の問いに、高須賀は「彼女が老いて朽ちていく姿が見たい」という思いを抱き、瞑に「生きていてほしい」と伝えます。
ただ、一気に詰められた2人の距離は、以降の章では一定の距離感を保っています。
瞑と高須賀の、近くて遠い距離感。
2人の関係がどう変わっていくのかが、本書をおすすめしたい理由なのです。
【ロジカルに進む物語】3つの注目ポイント

また『少女ノイズ』には、次の3つの注目ポイントがあります。
- 瞑の推理力に感嘆する
- ロジカルな恋に魅力を感じる
- 自分の「癖」を見つめ直せる
詳しく解説します。
瞑の推理力に感嘆する
注目ポイント1つ目は「瞑の推理力に感嘆する」こと。
頭に巨大なヘッドフォンをつけ、塾では無気力に過ごす瞑。
高須賀が写真に収めたいと思うほど、塾での瞑は生きることを放棄しているように映ります。
しかし実際は、瞑は並外れた洞察力と推理力を持ち、塾の内外で起こる学生たちの事件の真相を瞬く間に突き止めてしまうのです。
瞑の推理力は第1章から発揮され、最終章で高須賀自身がとある事件の犯人だと疑われた際も、刑事と初対面した時点で真相を明らかにさせます。
瞑は学生たちの間にある複雑な糸を、いとも簡単に解し、断ち切ります。
その推理力は、常人には理解できないほどの鋭さを持っているのです。
ロジカルな恋に魅力を感じる
注目ポイント2つ目は「ロジカルな恋に魅力を感じる」こと。
「おすすめしたい理由」でも触れましたが、『少女ノイズ』はミステリーものでありながら青春・恋愛の要素も含まれている作品です。
ただ、普通の青春恋愛もののように甘い時間が流れたり、好きか嫌いか、やきもきしたりといった表現はほとんどありません。
瞑と高須賀、どちらもが非常にロジカルな性格のため「好き」という思いさえも論理的な感覚として昇華されているのです。
「恋」というと感覚的で衝動的なものだと捉えやすいですが、本作ではロジカルな恋に落とし込むことで、2人の間に流れる空気感を独特なものにしています。
ただ、そんな瞑と高須賀の関係も最終章では変化します。
その変化は本書カバーの裏表紙に書かれた紹介文の内容を回収する形となっているので、まずは紹介文を読んでから本文を読むのがおすすめです。
自分の「癖」を見つめ直せる
注目ポイント3つ目は「自分の『癖』を見つめ直せる」こと。
『少女ノイズ』を読むと、読者自身が持っている「癖」を、改めて見つめ直すきっかけになるのです。
瞑と高須賀はそれぞれ、人には言えない「癖」を持っています。
瞑は「表と裏の顔を極端に使い分けていること」。
高須賀は「殺人事件の現場写真を撮り、集めること」。
特殊な癖を持っている2人ですが、現実世界に生きる私たちも人には言えない癖を持っているはずです。
瞑と高須賀が持っている病的な癖は、物語が終わっても解消されたことは書かれていません。
それは「身についてしまった癖は、どんな形でも自分の部品の1つである」ことを物語っています。
瞑や高須賀の癖には共感できないと感じても、読者自身の癖でさえ他人から見たら共感できないと感じられるかもしれません。
自身の癖をそのまま受け入れて生活を続けるのか。
あるいは向き合って解消させるよう努力するのか。
『少女ノイズ』は癖の扱い方についても、考えさせられる作品なのです。
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1970年大分県生まれ。横浜市在住。1998年に『コールド・ゲヘナ』で第5回電撃ゲーム小説大賞《銀賞》を受賞し、デビュー。作品に『幻獣坐』、『旧宮殿にて』、『アスラクライン』など。(『少女ノイズ』カバーより引用)
まとめ:ヘッドフォンのコードがつながる先
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
今回は三雲岳斗氏の小説『少女ノイズ』についてアシストしました。
最後に印象に残った一文を紹介します。
「人間は基本的に身勝手な生き物だよ」
高須賀が発した言葉ですが、どんな状況で発したのかは本作を読んで確かめてみましょう。
瞑が身につけているヘッドフォン。
作中ではどこにもつながっていませんが、物語の最後、ある場所につながります。
それはどこなのか?
気になった方は物語を読み進めてみてください。
それでは、良き読書ライフをお送りください!
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