あなたには愛する家族がいますか?
大切な存在がいると「守りたい」「愛したい」と強く思いますよね。
ただ突然、自分が命を絶たれ、その願いが叶わなかったとしたら、どうするでしょうか?
また逆に、愛する存在を失ってしまった時、あなたは立ち直れますか?
今回は
- 愛する人を失って希望が持てない
- もう一度亡くなった人に会いたいと思っている
- 子育てに悩んでいる
という方におすすめしたい、加納朋子(かのう ともこ)氏の小説『ささら さや』についてアシストします。
この記事を読めば『ささら さや』のあらすじとテーマがわかりますよ。
残された者が、強く生きるきっかけをくれる作品です!
【シングルマザーの物語】あらすじを紹介
『ささら さや』を読んでみて、テーマは「残された者が強く生きる決意」だと感じました。
本書のあらすじは次のとおりです。
事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良(ささら)の街へ移住する。そこでは不思議な事件が次々に起こる。けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。連作ミステリ小説。
『ささら さや』カバーより抜粋
『ささら さや』の冒頭、サヤの夫・俊彦は交通事故でサヤ達の目の前で亡くなります。
生まれたばかりのユウスケと残されたサヤは、強制的にシングルマザーとして生きていくことに。
ただ、サヤはお人好しで優しすぎる面もあり、どこか頼りない印象を周囲に与えてしまいます。
そんなサヤは、佐佐良の街に移住したことで、少しずつ母親としての自覚と覚悟を身につけていくんです。
『ささら さや』は、そんなシングルマザーの物語に、ミステリーの要素が加わった内容となっています。
おすすめしたい理由は「ミステリーと家族愛の融合」だから
『ささら さや』をおすすめしたい、もっとも大きな理由が「ミステリーと家族愛の融合」という点。
夫を失ったサヤは、佐佐良の街に引っ越した当初から不思議な事件に遭います。
どの事件も、最初は解決困難だと思われますが、ゴーストとなった夫が他人の体を借りて事件の真相をサヤに話すんです。
ただ、夫が体を借りられるのは一部の人に限られます。
そのため、サヤの近くに体を借りられる存在がいないと、助けに入られないのです。
この制限も、物語に緊張感を加えています。
それでも、サヤとユウスケ、そして夫の間には確かな愛があり、それは物語を通して変わらないものとなっています。
さらにサヤは、事件をきっかけに知り合った人物達と仲良くなり、女性としても母親としても軸がしっかりしていくんです。
不可思議なミステリーと家族愛。
一見、交わらない2つの要素がうまく溶け込んでいるのが『ささら さや』の大きな魅力なんです。
【強く生きる女性】3つの納得ポイント
また『ささら さや』には、次の3つの納得ポイントもあります。
- 周りに感謝できる人になれる
- 大切な存在を守ろうと思える
- 強く生きる決意ができる
詳しく見ていきましょう。
周りに感謝できる人になれる
納得ポイント1つ目は「周りに感謝できる人になれる」こと。
夫に先立たれた当時のサヤは、悲しみの底にいました。
周りの様子に気を配る余裕もないくらいに。
しかし、佐佐良の街に移住し、頼りになる知り合いが増えるにつれ、次第に周囲の人々に心から感謝できるようになっていきます。
「自分の感情と子供」が中心だったサヤが、人々の優しさに触れ「他人を気遣う心」も得ることができるんです。
これは読み手の私達自身も感じることができる変化です。
頼りないサヤにハラハラさせられていた当初が、いつの間にかサヤの変化に驚き、応援することができるようになるんです。
すると私達も「周囲の人に感謝したい」と思え、自然と視野が広がります。
周りに感謝できる人は、自然と周りからも愛される。
『ささら さや』はそのことを私達に教えてくれる作品でもあるのです。
大切な存在を守ろうと思える
納得ポイント2つ目は「大切な存在を守ろうと思える」こと。
サヤは夫を失ったことで、失意の中シングルマザーとなります。
しかし、義理の姉から「ユウスケを養子にしたい」という圧力に近い申し出があり、サヤはそれを振り切るように佐佐良の街に移住するんです。
サヤは失意の中にあっても「夫との繋がりであるユウスケだけは守りたい」という想いはありました。
そこには夫に対する執着もありましたが、何より「大切な存在を守りたい」という気持ちが強かったのです。
サヤの想いは、周囲の人物達にはもちろん、読み手にも強く伝わります。
大切な存在を一度失ったサヤだからこそ、残された大切な存在を今度こそは守ろうと決意したのです。
あなたの近くにも、大切な存在はいるでしょうか?
もしいるなら、失ってしまう前に自分から「大切だ」という想いを伝えましょう。
ただ、失ってしまった後なら、その存在に心から感謝の気持ちを持ちつつ、今いる大切な存在を守る決意をしましょう。
あなたのその想いは、必ず相手に伝わりますよ。
強く生きる決意ができる
納得ポイント3つ目は「強く生きる決意ができる」こと。
物語の終盤、ユウスケは誘拐されてしまいます。
パニックに陥るサヤ。
しかし、作者の加納氏はそんなサヤを叱咤するように次の言葉をつづっています。
もし必要なら、敵を引き裂く爪を持て。その喉笛に食らいつく、牙を持て。
『ささら さや』本文より
この言葉がサヤに届いたかのように、サヤは別人のように強くなり、ユウスケを取り戻すことができるんです。
しかし「強く生きる」決意ができたことで、ゴーストとなった夫とは永遠の別れとなります。
でもサヤは、すでに弱気で頼りないサヤではありませんでした。
その様子に、夫はもちろん、読み手の私達も勇気と安心感をもらえるんです。
夫は成仏する際、忘れ形見として、ユウスケを通して「とある贈り物」をしています。
その贈り物が何なのかは、実際に読んで確かめてみてください!
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1966年生まれ、福岡県出身。化学メーカーに勤務し、『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞し、作家デビューする。2010年に急性白血病の診断を受け、抗がん剤治療や骨髄移植を受ける。著書に『てるてるあした』『月曜日の水玉模様』『スペース』などがある。(Wikipediaより抜粋)
まとめ:扉絵にも注目
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今回は加納朋子氏の小説『ささら さや』を紹介しました。
本書を読む際は、ぜひ扉絵にも注目してみてください。
特に文庫版の最初の扉絵は、物語を読み終えた後に見ると、より感動が増すはずです。
それでは、良き読書ライフをお送りください!
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