辞書。
おそらく誰もが、1回は使ったことのある本ですよね。
小学生の頃は、様々な言葉の意味が載っている辞書の厚さに圧倒されたはず。
では、その辞書はどのようにして作られているのか……。
あなたはご存じですか?
というわけで今回は
- 辞書の作り方が気になっていた
- 言葉を深く知りたい!
- 不器用な恋を応援したい
という方におすすめしたい、三浦しをん氏の小説『舟を編む』についてアシストします。
この記事を読めば、『舟を編む』のあらすじと、おすすめポイントがわかりますよ。
辞書を作成する裏側、知る価値ありです!
【辞書編纂(へんさん)の物語】あらすじを紹介
『舟を編む』のテーマは「辞書作り」と「言葉の奥深さ」です。
本書のあらすじは次のとおりです。
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!
Amazonより抜粋
『舟を編む』は、出版社「玄武書房」での辞書作りが話の大枠です。
主人公の馬締(まじめ)は、元々玄武書房の営業部員でした。
ただ、少々浮いた存在でもありました。
しかし、辞書編集部の荒木に言葉のセンスを買われ、馬締は新しい辞書を製作する予定の辞書編集部へと引き抜かれるのです。
また『舟を編む』は次の一文から始まります。
「犬。そこにいるのに、いぬ。」
この始まりからもわかるように、『舟を編む』には言葉の奥深さを感じる一文が、数多く掲載されています。
本書を読むだけで「辞書作りはどのように行われているのか」という出版社の現状と、「言葉の奥深さ」の2点が同時に味わえるんです。
おすすめしたい理由は「辞書作りの裏側がわかる」こと
『舟を編む』をおすすめしたい、もっとも大きな理由が「辞書作りの裏側がわかる」こと。
テーマとなっている「辞書作り」。
実は一筋縄ではいかないことばかりなんです。
例えば「掲載する言葉の選定」。
「どの言葉を辞書に載せるか」という選択が、その辞書の価値を決めると言っても過言ではありません。
古い言葉を載せるのはもちろん、新しい言葉も載せなくてはいけません。
ただ、古い言葉でも今はあまり使われない言葉は、掲載リストから外します。
また言葉の意味を書くスペースにも限りがあるため、その言葉の意味を端的に表す必要も。
さらに辞書自体の用紙も
- めくりやすいか?
- 厚みは何ミリがいいのか?
と、細かく決めていきます。
実際『舟を編む』で馬締達が作る辞書『大渡海』は、完成まで10年以上の歳月がかかっているんです。
学生時代、何気なく使っていた辞書ですが、かけられた労力は計り知れないんです。
『舟を編む』はココが読みポイント!【3つの魅力】
『舟を編む』は全国の書店員の投票で選ばれる賞「本屋大賞」を受賞しています。
それだけ聞いても魅力的ですが、実際に読む際は次の3つのポイントに注目してみてください。
- 日本語がもっと好きになる
- 辞書を大切にしたくなる
- 裏で巻き起こる人間ドラマ
詳しく見ていきましょう。
日本語がもっと好きになる
『舟を編む』を読むと、必ずと言っていいほど日本語が好きになります。
作中には難しい言葉がいくつも登場するため、実は読むには辞書が必須アイテムなんです。
実際、私もスマホの辞書アプリを参考にして読み進めたほど。
正直「いちいち調べながら読むなんて面倒だな」と思うかもしれません。
でも『舟を編む』には、読み進めたくなる魅力があるんです。
例えば、先ほど紹介した書き出し「犬。そこにいるのに、いぬ。」。
「犬→居ぬ(いない)」という意味だとわかると「おぉ!」と感動するんです。
日本語は奥深いと言われますが、『舟を編む』を読むとその意味がわかる仕掛けになっているんです。
辞書を大切にしたくなる
あなたは学生時代、辞書を大切にしていましたか?
特にやんちゃだった方は、辞書をボロボロにしてしまった過去があるはず。
でも『舟を編む』を読んで辞書作りの裏側を知ると、辞書を大切に扱いたくなるんです。
馬締達が製作している辞書『大渡海』は、先ほど触れたように、完成まで10年以上かかっています。
初版ということも影響していると考えられますが、それでも辞書が完成するまでは様々な人が関わり、資金も多くかかっているんです。
現代で辞書というと『広辞苑』が有名ですよね。
初版の刊行から60年あまり経っている『広辞苑』。
最新の第7版は、10年ぶりの改訂と明記されています。
単純に「第6版から10年かけて改訂した」とはいえませんが、それでも最新版を出版するまでに時間はかかっています。
それだけ労力がかかっている辞書だとわかれば、自然と大切にしたくなりますよね。
ぜひ家に眠っている辞書の埃を取り除いてあげましょう。
裏で巻き起こる人間ドラマ
『舟を編む』は辞書の編纂がテーマのため、淡々と編集の過程を書き連ねているかというと、そうではありません。
主人公・馬締と、馬締が暮らしている下宿先の大家の孫娘・香具矢(かぐや)の不器用な恋物語。
馬締と同じ編集部員の西岡と、交際相手の三好の関係。
さらに『大渡海』の監修を行っていた国語学者・松本との別れなど、辞書編纂の裏で巻き起こる人間ドラマも本書の魅力です。
どの人物同士の関係も、辞書作りのように一筋縄ではいきません。
それでも、私達読み手が思わず「頑張れ!」と応援したくなる魅力を、登場人物達は持っています。
ただの辞書編纂の話で終わらせないのも、作者・三浦しをん氏の文章力だといえます。
ぜひ『舟を編む』を読む際は、人間ドラマにも注目してみましょう。
また、単行本版には特典として、馬締が香具矢に送った「恋文」の文面が掲載されています。
初めて購入するという方には文庫版がおすすめです。
↓『舟を編む』の購入は以下のリンクから行えます↓
東京都出身の女性作家。2006年に『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を受賞。2012年には『舟を編む』が本屋大賞に選ばれる。著書に『神去なあなあ日常』『風が強く吹いている』などがある。(参考:ウィキペディア)
まとめ:辞書の裏側に思いをはせて
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今回は三浦しをん氏の小説『舟を編む』を紹介しました。
正直、私も本書を読むまでは、辞書1冊にこれほどドラマが詰まっているとは思いませんでした。
それだけでも新たな発見ですが、辞書を見かける度に本書の内容を思い出すようになりました。
ぜひ『舟を編む』を読んで、辞書の裏側に思いをはせてみましょう。
辞書に対する見方が、大きく変わりますよ。
それでは、良き読書ライフをお送りください!
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