
人は誰もが「トラウマ」を抱えています。
自身の生存に関わるものではなく、日常生活でもトラウマは発生するからです。
実は、そんな些細なものに思えるトラウマが、自分の生き方に深く影響しているんです。
今回は鈴木裕介(すずき ゆうすけ)氏の著書『がんばることをやめられない コントロールできない感情と「トラウマ」の関係』(以降『がんばることをやめられない』)についてアシストします。
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- 休みたくても頑張り続けてしまう人
- 休むと心が落ち着かない人
- 「いい子」でいることに疲れた人
このような方におすすめの1冊です。
本記事を読めば『がんばることをやめられない』の概要とテーマがわかりますよ。
【私とわたし】概要を紹介

『がんばることをやめられない』を読んでみて、テーマは「『私』と『わたし』の関係」だと感じました。
概要は次のとおりです。
はじめに申し上げておきたいのは、これからお話しする内容は、「今すぐメンタルを整える方法」や「気軽にできるストレス解消法」などのティップス集ではない、ということです。
この本の役割は「フラグを立てること」だと考えています。
あなたが、自分と仲良くなれない「根本的な理由」は何か。
制御できない「わたし」とは、何者なのか。それを知ってもらうことで、自分との付き合い方を変えるきっかけになるかもしれない。新しい視野を持つことができるかもしれない。
そういう願いにも似た気持ちで書きました。
『がんばることをやめられない』「はじめに」より
本書の正式なタイトルは、冒頭で紹介したとおり『がんばることをやめられない コントロールできない感情と「トラウマ」の関係』です。
タイトルにもあるように、本書は自分では制御できない感情とトラウマの関係を見つめ直す内容となっています。
また『がんばることをやめられない』では、「私」と「わたし」を区別しています。
簡単に書くと
- 私:本来の自分。生活する上で普段、表に出ている自分のこと
- わたし:「トラウマ」を担当する「パーツ」。「私」を維持するために生まれた感情のこと
となります。
「わたし」は、抑えられないほどの怒りや親密な人に裏切られた衝撃といった、本来の「私」が崩壊するほどの危機から守るために生まれた存在なのです。
危機的な状況にどうにか適応するため、自分を分裂させることを「解離(かいり)」と呼び、「解離」はトラウマ反応の1つです。
「わたし」は自分の日常を守るため、身代わりとして生まれた存在とも言えます。
『がんばることをやめられない』は、「私」と「わたし」の関係を、改めて見つめ直す内容なんです。
おすすめしたい理由は「自分のトラウマを見つめ直せる」から

『がんばることをやめられない』をおすすめしたい、もっとも大きな理由が「自分のトラウマを見つめ直せるから」です。
『がんばることをやめられない』では、職場や日常生活で起こるトラウマについても例が挙げられています。
職場では
- 電話をかける時・出る時
- プレゼンをする時
日常生活では
- 身近な人が亡くなった時
- 誰かが言い争いをしている時
- 車を運転している時
が挙げられます。
どのケースも日常生活で経験しますが、心にトラウマを担当している「わたし」がいると、些細なことでも自分では制御できないほどの感情があふれてしまうんです。
ただ、誰の中にも「わたし」は存在します。
「わたし」は「楽しさ」や「遊び心」といった、ポジティブな感情も担当しているからです。
それでも過去に衝撃的な出来事を経験すると、トラウマ担当の「わたし」に怒りや悲しみを封じ込めてしまいます。
自分の中の「わたし」が、日常生活のどんなことに対して反応してしまうのか?
本書は自分の中にあるトラウマを、改めて見つめ直せる内容でもあるんです。
【トラウマとの付き合い方】3つの納得ポイント

また『がんばることをやめられない』には、次の3つの納得ポイントがあります。
- トラウマの大小は関係ない
- 自分が当てはまるトラウマがわかる
- 「いい子」を止められる
詳しく見ていきましょう。
トラウマの大小は関係ない
納得ポイント1つ目は「トラウマの大小は関係ない」こと。
実はトラウマにも種類があります。
戦争や自然災害など、自分や他人の生死に関わる大きなトラウマのことを「ビッグT」。
対して、いじめやパワハラ、配偶者との離婚など、日常生活で起こる傷つきのトラウマのことを「スモールt」と呼びます。
自分の生死に関わる「ビッグT」だと、心に大きな傷が残るのは当然ですよね。
でも「スモールt」は「社会的なひん死体験」とも言え、心に深い傷を残すことが多いんです。
『がんばることをやめられない』は、この「スモールt」に焦点を当てた内容となっています。
そして「スモールt」はどんな人にも存在しているため、トラウマの無い人はいないとも書かれています。
小さな出来事でも心は傷ついてしまう。
そのことに『がんばることをやめられない』は改めて気づかせてくれるのです。
自分が当てはまるトラウマがわかる
納得ポイント2つ目は「自分が当てはまるトラウマがわかる」こと。
『がんばることをやめられない』には、具体的なトラウマの例も挙げられています。
特に私が当てはまったのが「相手の要求に全力で応える『わたし』」です。
相手の要求にすべて応えようとしたり、喜ばせようとしたりすることもトラウマの反応だと知ったときは驚きました。
そして深掘りすると、私の場合は主に家族との関係でトラウマの反応が起こっていました。
そこで、家族と物理的に距離を置くため一人暮らしを始めたところ、心の中の「わたし」が次第に落ち着いていったのです。
『がんばることをやめられない』では他にも
- 見捨てられるのがこわい「わたし」
- 親しくなることを回避する「わたし」
- 死にたい気持ちを持つ「わたし」
などの例が挙げられています。
どの例も日常で起こることで、対処法も詳しく書かれています。
『がんばることをやめられない』は、トラウマという不確定で怖い存在を、具体的に落とし込んでいる本でもあるのです。
「いい子」を止められる
納得ポイント3つ目は「『いい子』を止められる」こと。
『がんばることをやめられない』で例に挙げられている「トラウマ」の反応は、すべて「いい子」という括りに分類できます。
要求に応えようとし、見捨てられないよう尽くし、浅い繋がりで生きようとする。
実際私も『がんばることをやめられない』に書かれているような「いい子」で生きてきました。
でも次第に「いい子」でいることに疲れ、自分を見失っていました。
『がんばることをやめられない』に出会えたことで、私は本当の意味で自分の感情の正体を知り、「いい子」を止めることができたんです。
あなたも「周囲が求めるようないい子」になっていませんか?
もしかしたら、トラウマ反応の「わたし」が影響しているのかもしれません。
本書のタイトルである『がんばることをやめられない』方は、自分の中のトラウマや「わたし」と向き合うためにも、ぜひ一読してみてください。
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内科医・心療内科医・産業医・公認心理師。2008年高知大学卒。内科医として高知県内の病院に勤務。研修医時代に経験した近親者の自死をきっかけに、メンタルヘルスに深く携わるようになる。2018年、「セーブポイント(安心の拠点)」をコンセプトとした秋葉原saveクリニックを開院、院長に就任。身体的な症状だけではなく、その背後にある種々の生きづらさ・トラウマを見据え、心と身体をともに診る医療を心がけている。主な著書に『我慢して生きるほど人生は長くない』がある。(『がんばることをやめられない』カバーより抜粋)
まとめ:「がんばらない」選択を
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
今回は鈴木裕介氏の『がんばることをやめられない コントロールできない感情と「トラウマ」の関係』を紹介しました。
あなたは今まで、本当に頑張ってきました。
そしてこれからは「がんばらない」生き方の選択をしてもいいのではないでしょうか?
本書はそのきっかけになります。
勇気を出して「がんばらない」選択も視野にいれてみましょう。
それでは、良き読書ライフをお送りください!
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