今回は根本聡一郎(ねもと そういちろう)氏の小説『宇宙船の落ちた町』についてアシストします。
【広告】
『宇宙船の落ちた町』はSFの分類になります。
ただ、単なるSFものではなく、現在の私達の状況にも当てはまる部分が多い物語なんです。
また次のような方にもおすすめです。
- SF作品が好き
- 自分と違う存在を、なかなか受け入れられない
- 「多様性」という言葉に少し抵抗がある
本記事を読むと『宇宙船の落ちた町』のあらすじとテーマがわかりますよ!
【異なる存在を受け入れるには】あらすじを紹介
『宇宙船の落ちた町』を読んでみて、テーマは「異なる存在と自分」だと感じました。
あらすじは次のとおりです。
「宇多莉(うたり)町には何もない」。住民が揃ってそう口にする田舎町で生まれ育った青砥佑太(あおとゆうた)は、十四歳の夏、裏山で巨大な宇宙船の墜落を目撃する。十年後、宇宙船に乗っていた異星人は地球社会へと徐々に溶け込み、佑太は近隣の大都市・舞楼市(まいろうし)に移住して無気力な生活を送っていたが、彼らの関係性は「あるアイドルの握手会」から劇的に変わっていく。
『宇宙船の落ちた町』カバーより抜粋
『宇宙船の落ちた町』の主人公は、24歳の青年・青砥佑太です。
佑太は10年前、生まれ育った町に宇宙船が墜落してから、実家が立入禁止区域になり、町を離れて暮らしていました。
しかし、アイドルグループ「マリア・シスターズ」の握手会で、人気ナンバー1・常盤木りさの担当になったことから、運命が大きく変わります。
また、宇宙船に乗っていた異星人は、フーバー星からやって来たということで「フーバー星人」と呼ばれるようになります。
『宇宙船の落ちた町』は地球人が、突然地球にやってきた宇宙人「フーバー星人」とどう共存するかがテーマの物語なのです。
おすすめしたい理由は「次々と明らかになる秘密に驚く」から
『宇宙船の落ちた町』をおすすめしたい、もっとも大きな理由が「次々と明らかになる秘密に驚く」からです。
佑太は、りさから「私を宇多莉町に連れて行ってほしい」と言われ、その願いを聞き入れます。
しかし、宇多莉町へ向かう道中をはじめ宇多莉町に着いてからも、りさの抱えた秘密が次々と明らかになります。
そのどれもが佑太にとっては驚くべきことで、驚きすぎて物語中盤からは慣れてしまうほどです。
どうしてフーバー星人は地球にやって来たのか?
りさは、どうして宇多莉町に行きたいと申し出たのか?
そして、なぜ佑太のことを知っていたのか?
次々と明らかになる秘密に、佑太はもちろん、読者も驚かされてしまうのです。
【宇宙人と地球人】3つの注目ポイント
また『宇宙船の落ちた町』には、次の3つの注目ポイントがあります。
- 佑太の変化に読者自身を重ねてしまう
- 物語の結末にホッとする
- 異なる存在を受け入れる土台が築かれる
詳しく見ていきましょう。
佑太の変化に読者自身を重ねてしまう
注目ポイント、1つ目は「佑太の変化に読者自身を重ねてしまう」こと。
『宇宙船の落ちた町』では物語が進むにつれ、佑太の心情が大きく変化します。
当初は無気力に生活し早起きも苦手という、俗に言う「残念な」人間だった佑太。
でも物語終盤では、りさや同級生を守ろうと体を張る、たのもしい人間に成長します。
佑太の変化は、りさと出会ったこと、またこれまで逃げていた「宇多莉町出身者」というレッテルに向き合ったことが大きいです。
佑太の目を見張る変化に、読者も「自分もこうありたい」と自身を重ねてしまうのです。
物語の結末にホッとする
注目ポイント、2つ目は「物語の結末にホッとする」こと。
『宇宙船の落ちた町』では、何度もヒヤヒヤする場面が書かれています。
りさを宇多莉町に連れて行く場面では「どこかでバレるのではないか」。
りさの目的だった人物と対峙する場面では「どうしてこうなったのか」。
そして佑太の命に関わる事件も起こります。
そんなヒヤヒヤする展開を経て物語は完結しますが、読者は「この結末で本当に良かった」と思えるのです。
最終的にどんな結末になったのかは、ぜひあなた自身の目で確かめてみてください。
異なる存在を受け入れる土台が築かれる
注目ポイント、3つ目は「異なる存在を受け入れる土台が築かれる」こと。
『宇宙船の落ちた町』を読むと、読者自身に「異なる存在を受け入れる土台」ができあがります。
本書のカバーにもありますが、物語は「過去と未来」「共生と排斥」「都市と辺境」「世界と自己」という、「自身と異なる存在と、どう向き合うのか」がテーマです。
ただ、本書は単に「異なる存在も受け入れましょう」と勧めるのではなく、「自分と違いがあるからこそ、どう受け入れるか?」と、読者に考えさせる内容なのです。
現在は「多様性の受け入れ」が課題となっています。
様々な性格や姿・特性を持つ人がいるからこそ、自分と違う部分があると、人は拒否反応を示しやすいです。
それでも『宇宙船の落ちた町』を読むことで「自分と違う存在だけど、受け入れていいかも」と、思えるんです。
「自分と違う存在を、なかなか受け入れられない」「『多様性』という言葉に抵抗がある」という方ほど、『宇宙船の落ちた町』はおすすめの作品です。
↓『宇宙船の落ちた町』の購入は以下のリンクから行えます↓
【広告】
福島県いわき市出身、仙台在住。東北大学文学部卒業後、NPO活動と並行して小説を執筆。他著書に『プロバガンダゲーム』『ウィザードグラス』などがある。(『宇宙船の落ちた町』カバーより引用)
まとめ:共存と未来を見つめて
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
今回は根本聡一郎氏の『宇宙船の落ちた町』を紹介しました。
自分と異なる存在をどう受け入れるのか?
人間の永遠のテーマとも言えますが、共存が本当にできたときこそ、新たな未来が開けます。
そのきっかけとして、本書を読んでみましょう。
それでは、良き読書ライフをお送りください!
【参加中です!ボタンを押していただけると嬉しいです!】
にほんブログ村
コメント